Burberrys' 1Panel Sleeve Wool Balmacaan Coatの力学

Burberrys' 1Panel Sleeve Wool Balmacaan Coat
ヴィンテージ市場において「一枚袖」という言葉は、本来の意味を離れ、価格を釣り上げるための単なる記号とされている。
しかし、このBurberrysのウールバルマカーンコートをはじめとする一枚袖の本当の価値は、その希少性だけではなく、着用時のシルエットにおける「重力への順応性」ではないだろうか?
二枚袖が肩の頂点に縫い目を持ち、立体的な肩の丸みを強制的に作り出すのに対し、
一枚袖は一枚の布を筒状にして腕を包む構造。
二枚袖は生地のロスを減らし、大量生産と効率化を追求した結果である
一枚袖は筒状にすることで肩の頂点に縫い目がないことによって、着用者の肩の傾斜に完全に依存して下方に落ちる。
これは衣服が人間の骨格を補正するのではなく、骨格に布を従属させるパターンメイキングである。
この構造は、さらに素材の「質量」が加わることでさらに魅力を増す。
ギャバジンと違い、ウール素材は重さを持ちこの質量が重力に従って落ちるため、肩から裾に向かって余分な膨らみを持たない完全なAラインが構築され、パターンを超え、重力と質量によってデザインが完成する。
さらに長年の自らの重さによる生地の伸び、着用による摩擦、繊維内の油分の揮発により、生地本来の反発力は失われ、一枚袖のウールコートにおいては、肩、生地の落ち感を最適化する要因となる。
一枚袖という極めて簡素なパターン、バルマカーンという削ぎ落とされたデザイン、そして重力の影響を受けやすいウールという質量の大きな素材。
着用することで、構造と素材が生み出す絶妙なバランスを体感できるだろう。
